ファクタリングにおける掛目・掛け目とは?手数料と同じ意味?

ファクタリングについて調べていると「掛目または掛け目」という言葉を見かけると思います。

ファクタリングに関して解説しているサイトを見ているとたまに出てくるのですが、サイトによっては「掛目」という言葉を本来の意味と少し異なって使っていることがあります。

一部混乱しているファクタリング利用者も存在するのではと思いますので、ファクタリングにおける掛目とは何なのか確認していきましょう。

 

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掛目・掛け目とは

掛目・掛け目の読み方は「かけめ」です。

では掛目・掛け目とは一体何なのか、その定義を見てみましょう。

MEMO
掛目・掛け目とは、担保などに対し時価よりも低く評価する比率のこと

金融・証券業界では「担保掛け目」とも呼ばれています。

金融機関などの融資をする側は、最悪の場合、担保処分により融資した金額を確実に回収できる金額設定をしなければなりません。

会社経営をしていると、不動産や有価証券の類を担保に融資を受けた経験のある方もいらっしゃると思います。

その場合に不動産の評価額・有価証券の額面金額の全額を融資対象とされるのではなく、一定の割合で減額されると思います。

そのように対象物の時価よりも低く評価する比率・割合のことを掛け目と呼びます。

 

掛目・掛け目の例

イマイチ分かったような分からないようなという方もいるかもしれませんので一つ例を出して解説しましょう。

※もう分かっているから解説は不要だという方は読み飛ばして先に進んでいただけたらと思います。

評価額が1000万円の不動産を担保に融資を受ける場面を想定します。

不動産の評価額:1000万

この場合に融資担当者が1000万円を丸々貸すということはしません。

仮に掛目80%とすると、

最大融資可能金額:800万

となり、1000万円全額の融資を引き出すことはできないのです。

掛目だけにフォーカスして融資可能額を見てみると以下の様になります。

1000万(担保価値) – 200万(掛目) =800万円(融資可能額)

不動産に抵当権をつけて担保化する場合には、債務者が債務不履行に陥った場合(借金の回収ができない場合)には抵当権の実行で当該不動産を競売にかけます。

その際に路線価などを基に算出された不動産の評価額どおりに売却することはできません

不動産の場合には物件の瑕疵(欠陥)なども含め安全に貸し出せる金額を設定しなければなりませんので担保価値から掛目が差し引かれるのです。

 

担保ごとに代わる掛目

担保掛目は一般的に以下の様に設定されます。

  • 預貯金:100%
  • 国債:90%
  • 上場企業の株式:80~50%
  • 不動産:80~70%

預貯金の場合は評価が一定のため回収可能性が高く100%とされています。

先ほどの例に出た不動産ですと80%~70%が相場です。

債権回収の可能性が高ければ高いほど掛目は大きくなり(100%に近づき)、逆に回収可能性にリスクがあれば掛目は小さくなります。

 

ファクタリングにおける掛目とは

さて、本題である「ファクタリングにおける掛目とは何か」について見ていきましょう。

ファクタリングは売掛金(売掛債権)を業者へ売却する(業者に買い取ってもらう)ことで現金化する資金調達方法です。

御社が取引先へお持ちの売掛金の金額が100万円とした場合、その売掛金を売却しても実際に100万円全額が調達できることはありません

ファクタリングでは手数料がかかるのですが、別途掛目をかける業者も存在します。

この場合における掛目は「保証金」や「一時仮押さえ金」のようなもので、最終的には清算されるものです。

 

ファクタリング利用時の掛目は何%?

ファクタリング利用時の掛目は何%なのかと言うと、一般的には70%~100%と言われています。

このように幅がある理由ですが、ファクタリングには様々な取引形態があることと、売掛債権に対する債権回収の信頼度に由来します。

ファクタリングの取引形態

取引種類 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
対抗要件 債権譲渡登記あり 債権譲渡登記なし
売掛先企業 中小・零細企業 上場企業・大企業

ファクタリング業者が資金回収の可能性が高いと判断した場合には100%となることもあり、100%であれば掛目として評価額が引かれることはないということを意味します。

仮に掛目が90%・手数料20%であった場合ですと、調達できる金額は以下のようになります。

売掛金1000万円 – 掛目100万円 – 手数料200万円= 調達額700万円

ただ実際には掛目・掛け目の設定自体がないファクタリング業者もいますので、調達額は手数料を引いた額となることも多いかと思います。

 

ファクタリングで混乱する掛目と手数料の違い

ファクタリングの内容について調べていて掛目の意味がいまいち理解できないと悩んでいる方がいるとすれば、その理由はこの言葉が「手数料」と同義で使われている点ではないでしょうか?

ファクタリングを解説しているウェブサイトの中には「掛目」は「手数料」のことだと言っているところもあります。

ファクタリングにおいては業者の利益として手数料が設定されているのはご存知かと思いますが、その手数料と掛目を同じ意味で使っているために読み手は混乱させられますね。

ファクタリング業者には掛目100%、または掛目を設定しないで手数料だけでリスク管理をしているところがあります。

結局のところ資金の回収可能性に対するリスク管理をするのが掛目の役割ですので、手数料割合で同様のことを行っているのが現状です。

 

まとめ

金融業界で一般的に使われる担保掛目としての掛け目の解説から始まり、ファクタリングにおける掛目の内容・パーセンテージについて見てきました。

掛目が一時預かり金として機能する場合には、売掛金の回収時にきちんと清算させるかどうかは事前に確認しておきたいポイントです。

いずれにせよ、後でトラブルにならないように契約時にはきちんと内容を確認して不明な点がないようにしておくことが必要です。

ファクタリング契約時トラブルにならないように注意するポイント