ファクタリングで逮捕された業者がいたとニュースで見たことがある。
ファクタリングは違法なのではないか?
そんな疑問を持っていませんか?
過去の逮捕事件からファクタリングはブラックな手法だと疑っている方も多いですね。
結論から言いますと
- ファクタリングそのものに違法性はないが、
- 違法なことをしているファクタリング業者もいる
という状況になっています。
各種法律との関係はどうなっているのか?安心してファクタリング取引をするために知っておくべきことは何か?
ファクタリングの利用前に違法性がないかを検討しておきたいという経営者の方は必見です。
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ファクタリングはブラック?
ファクタリング取引がブラックと思われているのには過去の逮捕事件が大きく影響していると思われます。
ファクタリング業者が闇金の疑いで逮捕
遡ること2017年1月25日のこと。ファクタリング業者が大阪府警に摘発・逮捕されるという事件が起きました。
このニュースによって「ファクタリング=闇金・ブラックな手法」であるというイメージが付いている方もいるかもしれません。
この事件の詳細がどういったものだったのかを確認してみましょう。
債権買い取り装い高利貸し 大阪府警、東京の2業者8人を逮捕
「ファクタリング」と呼ばれる売掛債権の買い取り契約を装い、ヤミ金を営んだとして、大阪府警生活経済課は25日、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、東京都中野区の2業者を摘発し、元経営者の三浦和仁容疑者(36)=同区弥生町=ら男8人を逮捕した。
府警によると、ファクタリングを装ったヤミ金業者の摘発は全国初。府警は2業者がファクタリングを装いながら、実態は売掛債権を担保に高金利で金を貸し付けていたとみて、出資法違反(超高金利)容疑でも捜査する。
摘発されたのは「東洋商事」と「MINORI」。府警は、2業者が平成27年秋から28年11月にかけ、資金繰りが悪化した中小企業を中心に全国約250社に総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得ていたとみて調べる。
引用元:産経WEST
この2業者は実際に有罪判決を受けましたので、ファクタリングが違法なのかと思わせるような事件となってしまいました。
実際は高利貸しをしていた
上の記事を読んでいる気づくと思われますが
「ファクタリング」と呼ばれる売掛債権の買い取り契約を装い、ヤミ金を営んだ~
ファクタリングを装ったヤミ金業者の摘発は全国初。
と記載されている通り、ファクタリング業者を名乗りながら実際には闇金同様の高利貸しを行っていたということが分かります。
ファクタリング業者とは名ばかりで、売掛債権の買取ではなく売掛債権を担保にした貸し付けをしていたのがこの事件の背景だったのです。
悪徳業者が行っているファクタリングは違法
のちほどファクタリングと各種法律の関係性を見ていきますが、実際には貸金業と判断されるようなファクタリングの場合には法律違反と判断されることがあり得ます。
担保や保証人をとる行為であったり、手数料があまりにも高すぎる場合です。
前述の事件の様に、ファクタリングには残念ながら悪徳業者も混ざりこんでおり、そういった業者の場合には貸金業法違反として違法性が認められます。
闇金などの悪徳業者は本来の貸金業での規制が強化されたことによって、許認可制度が整備されていないファクタリング業界へと進出してきているのです。
詐欺・悪徳業者を見抜く方法を知りたいという方はこちらの記事も読まれることをお勧めします。
ファクタリングと法律
ファクタリングは欧米ではポピュラーな資金調達手法だとされていますが、日本ではまだ日が浅く法令が整備されていない状況にあります。
その中でもファクタリングに関係しそうな法律は以下の3つです。
- 貸金業法
- 利息制限法
- 出資法
これらの法律とファクタリングとの関係はどうなっているのかを確認しましょう。
ファクタリングと貸金業法
貸金業法とは、消費者金融などの貸金業者について定めている法律です。
2006年に制定された法律で、貸金業者として認定された場合には
- 貸金業登録制度による「登録」が必要
- 国家資格である「貸金業務取扱主任者」を用意
することが求められます。
登録には審査が伴いますし、開業するための要件なども必要です。
ファクタリング業者が貸金業者として登録が必要かと言うと、現在は登録は不要であるとされています。
それはご存知の通り、ファクタリングでは
- 金銭消費貸借契約(お金の貸し付け)ではなく
- 売買契約(売掛金の買い取り)である
という性質からきています。
ただし、前述の通り保証人や担保を請求するケースでは、実質的には貸金業者とみなされ貸金業法が適用されることはあり得ます。
ファクタリングと利息制限法
利息制限法とは、金銭消費貸借契約(お金を借りる契約)の利息などの上限を規定する法律です。
利息の上限がどのように規制されているかというと
- 10万円未満なら年率の上限20%
- 10万 ~ 100万円未満なら年率の上限18%
- 100万円以上なら年率の上限15%
これを超えた部分については「無効」という様に規定されています。
消費者金融側が仮に「契約書に印鑑を押しているだろう」と主張したとしても、その超過部分に対しては、契約自体が法律違反で無効となります。
万一この法律がファクタリングの手数料に対して適用されるとなった場合、利息制限法に引っかかる可能性が出てきてしまいます。
しかしこれに関しては、
- 債権譲渡契約であること
- ノンリコース契約であること
の2つの理由からファクタリングが金銭消費貸借契約ではないと判断されているため、利息制限法の適用はないとされています。
※詳しくは後ほど『金融庁の見解』という項目で触れます。
ファクタリングと出資法
出資法とは、貸金業者などによる高金利などを取り締まる法律です。
※正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」で、貸金だけを規定しているわけではありませんがそれは割愛します。
利息制限法との大きな違いは懲役などの刑事罰を貸していること。
以前は出資法の金利上限が29.2%だったことで、利息制限法を超えても罰則がないことで「グレーゾーン」という言葉が有名になりましたね。
現在では金利上限20%まで引き下げられており、「グレーゾーン」はほぼ撤廃されています。
この法律が適用されたとしたら、ファクタリング手数料は場合によっては出資法に違反してしまうケースが出てくるでしょう。
しかしこれに関しても利息制限法と同様にファクタリングには適用がないとされています。
ファクタリングの違法性
- 貸金業法
- 利息制限法
- 出資法
これらの法律が適用されないファクタリングではありますが、前述のように、実際に貸金業法違反で逮捕・有罪になっているケースがあります。
該当のファクタリング取引の違法性を判断するには、実質的に債権譲渡契約ではなく貸金契約(金銭消費貸借契約)とみなされるかが問題になってきます。
金融庁・法務省の見解
金融庁・法務省にファクタリングの違法性について問い合わせをした弁護士が言うには
- ファクタリングは売掛債権の譲渡であり、
- 債務者が債務不履行に陥った際のリスクは事業者が負うため
- 貸金ではなく貸金業法・利息制限法の適用はない
とのこと。
これは償還請求権のない、いわゆるノンリコース契約のことを言っています。
確かにこの性質を考えればファクタリングは貸金業と同じではないということですね。
まとめ
ファクタリングの違法性については
- ファクタリングは違法ではない
- 悪徳業者は貸し付けを行っている
- 貸金業とみなされる場合には貸金業法・利息制限法・出資法違反となり得る
ということでした。
悪徳業者にさえ引っかからなければ、通常のファクタリング契約では違法性を心配する必要がないという結論になります。
よくよく考えれば、経済産業省が中小企業の資金繰り対策としてファクタリングの利用を推進しているという点を考えれば、違法性のある手段であるわけはないですよね。
したがって、信頼のおける業者を見つけることが重要であるということです。